住宅ローンはどうやって借りる?
借り方・融資までの流れとは?

しかし、当然ながら中古でも数百万円以上、新築であれば数千万円以上の予算が必要です。それを現金で用意できる方は稀で、ほとんどの方は住宅ローンを組むことになります。

その一方、初めて住宅ローンを組む方も多く、なかには「住宅ローンはどうやって借りるの?」と疑問を抱いている方も多いはずです。

今回の記事では、それら住宅ローンの借り方についてご紹介します。特に融資が実行されるまでの流れについて詳しく解説するので、ぜひ参考にしてみてください。

住宅ローンの審査の大まかな流れ

住宅ローンは各金融機関に申し込みを行い、審査に通れば融資が実行されます。

よく「金融機関を通して住宅ローンを払う」と勘違いする方が多いのですが、実際には「金融機関から“融資を受けて”住宅ローンを払う」のが正しい解釈です。つまり、住宅ローンも借金の一種ということをきちんと受け止めて返済計画を立てていく必要があります。以下、融資までの流れを箇条書きでまとめるので、頭に入れておきましょう。

  1. 金融機関の選択
  2. 事前審査の申請
  3. 事前審査の通過
  4. 本審査の申請
  5. 本審査の結果
  6. 融資の実行

これはあくまでも一般的な流れですが、ほとんどの金融機関は事前審査と本審査を通過した人のみに融資を行っています。極論をいえば、この審査にさえ通れば、住宅ローンでつまずくことはありません。

事前審査と本審査は何が違うのか?

住宅ローンは誰にでも貸すわけにはいきません。金融機関にとっては住宅ローンも金融商品の1つであり、あくまでも利益を出すためのものです。そのため、返ってくる保証のない人には貸せません。例えば、無職の方やニートの方が「住宅ローンを組みたい」と思っても、返済能力がないと判断されて審査に落ちてしまいます。

金融機関の審査には、大きく分けて2種類あります。すでに前述している通りですが、その2種類というのが事前審査と本審査です。以下の表は事前審査と本審査の違いを簡単に示したものです。

審査の種類 審査の特徴
事前審査 売買契約の前に実施するもので融資できるかどうかを審査するもの
本審査 売買契約の後に実施するもので融資していいかどうかを審査するもの

これらは単なるニュアンスの違いとも解釈できるのですが、事前審査は売買契約の前に実施されるのに対して本審査は売買契約の後に実施されます。どちらの審査でも契約者の返済能力が問われるのですが、審査の厳しさが異なります。特に、事前審査は簡単な審査なのですが、本審査は厳正な審査となるので注意しましょう。

大まかな借入可能額がいくらになるかを知ろう

住宅ローンは契約者の年収などに応じて、借入可能額が決められています。これを返済負担率とよぶのですが、この返済負担率は年収400万円未満で30%まで、年収400万円以上で35%までと定められています。つまり、年収400万円であれば年間120万円までしか借り入れができない計算となるわけです。以下、簡単な計算式となります。

  • 返済負担率=年収(400万円未満)×30%
  • 返済負担率=年収(400万円以上)×35%

当然ながら金融機関も無理な返済計画をしている方に融資することはありません。年収300万円なのに年間200万円ほど借り入れしようとすれば、審査にも落とされてしまうでしょう。逆に年収が500万円あれば年間175万円までが借入可能額となります。計算自体は単純なので、まずはご自身の年収に当てはめて計算してみましょう。

そのほか、年収倍率によって借入可能額が制限される場合もあります。年収倍率というのは、各金融機関が設定している基準の1つです。この基準では借入可能額の上限を年収の○倍までというかたちで制限されるのが特徴となります。この年収倍率による借入可能額の上限に関しては約5~7倍となることが多いです。そちらも併せて確認しておきましょう。

住宅ローンの事前審査(仮審査)

住宅ローンにおいて最初の壁となるのが事前審査です。ここからは事前審査がどのようなものなのかを詳しくご紹介します。

事前審査(仮審査)とは?

事前審査は仮審査ともよばれるもので、売買契約の前に実施される審査です。事前審査は本審査に比べて簡単な項目ごとに判断していきます。そのため、普通の会社や企業に勤めているサラリーマンであれば、難なく通過可能な審査となります。もちろん、フリーランスなどで働く自営業であっても安定かつ継続して稼げていれば、難なく通過可能です。逆に事情があって無職だったりニートだったりすれば、返済能力がないと判断されてしまうことでしょう。

事前審査(仮審査)の審査期間は?

事前審査には約1週間かかります。事前審査は簡単な審査とはいわれていますが、金融機関も返済能力がある方を通すわけにはいきません。そのため、事前審査であっても約1週間はかかると見ておくことが大切です。

現代はより審査の方法も多様化してきたことで結果も素早く出せる金融機関が増えています。それら金融機関によっては4~5日ほどで結果が出る場合もあるでしょう。もちろん、それでも約1週間と考えておくのが妥当です。

事前審査(仮審査)で見られる内容(基準・審査項目)は?

国土交通省住宅局が行った調査結果報告書によれば、金融機関の多くは以下の内容を重視しているとされています。金融機関ごとに見ている内容は違うのですが、特に、以下のものは上から準備重視される内容なので事前に確認しておきましょう。

  1. 完済時年齢
  2. 健康状態
  3. 担保評価
  4. 借入時年齢
  5. 年収
  6. 勤続年数
  7. 連帯保証
  8. 金融機関の営業エリア
  9. 返済負担率

事前審査の段階でここまで詳しく内容を確認されることは稀です。むしろ事前審査であれば最低限の内容しか確認しないため、あまりシビアに考える必要はありません。あくまでも住宅ローン契約における足切りだと思ってください。普通に健康で年齢も若く、仕事があるという方なら事前審査は通過可能です。ただ、上記の内容によっては落とされることもあり得なくはないため、準備は入念に済ませておくことが重要です。

事前審査(仮審査)で準備しておく必要書類

事前審査は簡単な審査ということもあり「必要書類もほとんどないでしょ」と考えている方が多いです。
しかし、事前審査であっても必要とされる書類はあるため、以下の表を参考に準備を進めておいてください。

事前審査における必要書類
本人確認書類 運転免許証、健康保険証、パスポート
収入関連書類 ・給与所得者:源泉徴収票

・自営業者:確定申告書の写し

物件確認書類 パンフレット、チラシ、販売図面

事前審査であれば上記の書類があれば安心です。逆にこれらの書類が用意できない場合は審査の対象から外されてしまうこともあるため、注意が必要となります。

事前審査(仮審査)で注意するポイント

事前審査は安定かつ継続した収入があれば、多くの場合は通過します。しかし、事前審査であっても返済能力がないと判断された場合は、当然ながら審査も通過しません。たとえば、極端な例でいうと、現在失業中の方などは返済能力がないと判断されてしまいます。また、事前審査では本人の適正なども判断されるため、金融機関が「この人になら融資しても大丈夫」だと思わせる必要があります。

多くの方は事前審査と聞いて「誰でも通るでしょ」と適当に対応してしまいがちです。しかし、世の中の情勢が不安定になってきている昨今、より事前審査から厳しくする金融機関も増えると予測できます。そこは返済計画などを入念に立て、金融機関に信用してもらうことが重要となってくるでしょう。

住宅の売買契約をする

事前審査に通過した後は、住宅の売買契約に入ります。逆にいえば、事前審査に通らない限りは住宅の売買契約ができないと思っていた方が良いです。やはり建築業者や不動産業者も危ない橋は渡れないため、事前審査すら落ちる方は現金一括払いでもない限り売買契約は締結してくれません。

そのため、まずは事前審査に通過してから売買契約を結ぶということを前提に考えておきましょう。ただ、それだけで終わりではなく、その後に本審査を通過してようやく住宅ローンの実行となります。この融資実行まで油断できないため、売買契約の段階では気を抜かないようにしましょう。

住宅ローンの本審査

住宅ローンでより高い壁となるのが本審査です。ここからは、本審査がどのようなものなのか、詳しく解説します。

本審査とは?

本審査は諸々の審査に通過した人のみが受けられるもので、売買契約の後に実施される審査です。本審査は事前審査に比べて厳正な項目ごとに判断されます。そのため、サラリーマンであっても自営業であっても、返済能力が十分でないと判断された場合は審査に落ちてしまう可能性があります。逆に返済能力があると認められれば、難なく住宅ローンを借りられるでしょう。ただし、本審査の場合は本人の返済能力だけではなく、担保評価や瑕疵状態や健康状態も加味されるため、入念な準備が必要です。

本審査の審査期間は?

本審査には約10日間~2週間かかります。本審査はより厳正な審査を行うため、金融機関も返済能力がある方のみを見極めなくてはなりません。そのため、本審査に関しては約10日間~2週間はかかると見ておきましょう。

本審査は事前審査に比べても加味される項目が増えるため、最新鋭の審査を行っている金融機関でもある程度は時間がかかります。それこそ、どんなに早くても約1週間はかかってしまうでしょう。こればかりは金融機関の状況によっても異なるものの、約10日間~2週間ほど必要だと考えておくことが重要です。

本審査で見られる内容(基準・審査項目)は?

国土交通省住宅局の住宅ローンの実態に関する調査結果報告書を見ると、事前審査と同じように以下の内容を重視する金融機関が多いとされます。特に、以下の内容は本審査で必ずと言って良いほど見られるため、事前に確認しておくことが大切です。

  1. 完済時年齢
  2. 健康状態
  3. 担保評価
  4. 借入時年齢
  5. 年収
  6. 勤続年数
  7. 連帯保証
  8. 金融機関の営業エリア
  9. 返済負担率

事前審査に通過しても完済時の年齢があまりにも高齢だった場合や健康状態が悪かった場合などは、本審査で落ちてしまいます。そのほか、本審査では事前審査においてはあまり重視されない担保評価なども見られます。そのため、本人だけではなく物件全体として融資できるかどうかも判断されるということです。ほかにも返済負担率などを参考に返済計画に無理がないかどうかも見られるため、審査に対して入念な対策が必要となるでしょう。

本審査で準備しておく必要書類

本審査では本人が融資に値するのかを判断されるため、より必要書類も多くなります。これらの必要な書類をまとめておかないと、後々、トラブルとなることもあります。事前に用意しておかなくてはならない書類もあるため、余裕を持って取得しておくなど工夫しましょう。

住宅ローンの本審査の必要書類
本人確認書類 運転免許証、健康保険証、パスポート、住民票、印鑑証明書など
収入関連書類 ・給与所得者:源泉徴収票、住民税決定通知書、課税証明書など

・自営業者:確定申告書の写し、申告所得税納税証明書、事業税納税証明書など

・法人代表者:決算報告書、法人税納税証明書など

物件確認書類 パンフレット、チラシ、販売図面、売買契約書、重要事項説明書、工事請負契約書、土地や建物の登記事項証明書など

本審査は本人確認のための書類はもちろん、住民票や印鑑証明書なども必要です。また、輸入関連の書類においても住民税決定通知書や課税証明書、申告所得税納税証明書、事業税納税証明書、法人税納税証明書なども必要となります。そのほか、物件確認の書類では売買契約書や重要事項説明書のほか、工事請負契約書や登記事項証明書なども必要です。

本審査に通ったあとは住宅ローン契約を締結する

本審査に無事通過すれば、そこで晴れて住宅ローン契約を締結することとなります。ただ、この際には団体信用生命保険や火災保険などへの加入が義務となっていることも多いです。家は万が一のこともあるため、住宅ローン契約の締結も万全の状態で済ませることが必要となります。

特に本人が死亡したり障害を負ったり、火災で損壊したり全壊したりすることもあるでしょう。そうなった場合、融資する側はもちろん融資をされる側もリスクが伴います。そのため、保険への加入については細部まで考えておくことが重要です。

なお、締結後のキャンセルについては注意が必要です。原則として住宅ローン契約自体のキャンセルは可能ですが、状況によっては売買契約を解除しなくてはならない場合もあります。それらは余計なトラブルの原因にもなるので十分気をつけておいてください。

住宅ローンの融資実行

契約も無事に締結すれば、いよいよ住宅ローンの融資実行となります。融資が実行されれば、その後は月々の返済を行いながら生活していくのみです。もちろん、その途中で問題が発生することもあるため、その都度、金融機関に相談しましょう。

なお、融資の実行に関しては早くても2週間ほどかかります。遅ければ1ヵ月以上かかることもあるため、余裕を持ってほかの手続きなども進めておきましょう。

「住宅ローン控除」や「すまい給付金」の申請

住宅ローンを組む場合は、住宅ローンやすまい給付金を活用するのがおすすめです。おすすめというよりも必須と思っておきましょう。なぜなら、控除や給付金を受けることによって、経済的負担を大幅に軽減可能です。

詳しくは住宅ローン控除の記事やすまい給付金についても情報収集しておきましょう。この記事ですべてを解説していると終わりがないので、住宅ローン控除やすまい給付金については別途で申請するということだけ覚えておいてください。

まとめ

住宅ローンを借りるためには金融機関を探して審査(事前審査・本審査)を通過し、契約を結んでようやく融資実行となります。ここまで考えるととても多くの手順があり、初めて住宅ローンを組む方にとってはわからないことも多いかもしれません。その場合は、今回の記事を見直しながら手続きするか、もしくは専門家に相談してみましょう。

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