【2023年】電気代の高騰はいつまで続く?値上げの原因や今後の見通しを解説

この記事では、電気代の高騰がいつまで続くのかを詳しく解説していきます。

2021年以降に電気代の値上げが続き、現在では社会問題に発展しています。2022年に入ると、電気代の値上げはさらに顕著になり、そのほかの物価上昇と相まって各家庭の家計に大打撃を与えています。

この影響により、多くの家庭や企業がいつまでこの状況が続くのかといった疑問や、今後の見通しに不安を抱えています。

この記事では、電気代における値上げの原因や今後の見通しも解説していくので、電気代の高騰に悩む人はぜひ参考にしてください。

【この記事でわかること】

● 2022年における電気代の値上がり状況

● 電気代が高騰した原因

● 2023年以降における電気代高騰の見通し

● 毎月の電気代を節約する方法

2022年に電気代はどのくらい値上がりした?

以下のグラフから、電気料金の高騰は2021年に入ってから始まったとわかります。ここでは、グラフをもとに電気料金の推移を詳しく見ていきましょう。

<平均モデルの電気料金>

※出典:東京電力平均モデルの電気料金|東京電力ホールディングス株式会社

※2021年末時点

※平均モデル:従量電灯B・30A契約・仕様電力量:260kWh/月

上記の表には明記されていませんが、具体的な電気料金を紹介しておきます。

  • 2021年1月:6,310円
  • 2022年3月:8,244円

2021年からの約1年で1,934円、実に30.6%もの値上がりを示しています。ここでは、さらに具体的に見ていきましょう。

紹介する電気料金の推移は以下の4つです。

  • 低圧における電気料金の推移
  • 高圧における電気料金の推移
  • 特別高圧における電気料金の推移
  • 燃料調整額の推移

順番に解説していきます。

低圧における電気料金の推移

低圧電力とは、一般家庭や小規模店舗・事務所向けの電力で、直流で750V以下・交流で600V以下と定められた電力のことです。

一般家庭や小規模店舗には、電柱の柱上変圧器(トランス)で100Vや200Vまで電圧を下げて供給されています。低圧電力の契約電力は、50kWh未満であることを覚えておきましょう。

それでは、低圧電力料金の推移を見ていきます。

<全国の電気料金単価(低圧)>

※出典:法人・家庭の電気料金の平均単価の推移|新電力ネット

※消費税、および再生可能エネルギー促進賦課金は含まない単価

上記のグラフをもとに、低圧電気料金の具体的な推移を見てみましょう。

  • 2021年1月:電力20.01円/kWh
  • 2022年11月:電力35.74円/kWh

2021〜2022年の2年間で1kWhあたり15.73円の値上がりを示しており、実に78.6%増という急激な上昇を見せています。

高圧における電気料金の推移

高圧電力とは、飲食店などの店舗や事務所、幼稚園や小中学校、スーパーマーケットや工場などの事業用施設向け電力です。

直流で750V超7,000V以下、交流で600V超7,000V以下と定められています。高圧電力の契約電力は、50kWh以上であると認識しておいてください。

それでは、高圧電力料金の推移を見ていきましょう。

<全国の電気料金単価(高圧)>

※出典:法人・家庭の電気料金の平均単価の推移(特高・高圧・低圧別)|新電力ネット

※:消費税および再生可能エネルギー促進賦課金は含まない単価

上記のグラフをもとに、高圧電気料金の具体的な推移を見てみましょう。

  • 2021年1月:電力13.04円/kWh
  • 2022年11月:電力27.03円/kWh

2021〜2022年の2年間で1kWhあたり13.99円の値上がりを示しており、実に107.2%増と2021年1月に比べ2倍以上の電気料金に膨れ上がっています。

特別高圧における電気料金の推移

特別高圧電力とは、大きい工場向けの電力などで、規定の電圧が7,000Vを超え標準電圧は20,000V以上となっています。

それでは、特別高圧電力料金の推移を見ていきましょう。

<全国の電気料金単価(特別高圧)>

※出典:法人・家庭の電気料金の平均単価の推移(特高・高圧・低圧別)|新電力ネット

※:消費税および再生可能エネルギー促進賦課金は含まない単価

特別高圧電気料金の具体的な推移を見てみましょう。

  • 2021年1月:電力9.65円/kWh
  • 2022年11月:電力23.11円/kWh

2021〜2022年の2年間で1kWhあたり13.46円の値上がりを示しており、139.4%増と2021年1月に比べ2.5倍近くまで高騰しています。

燃料費調整額の推移

燃料費調整額を決定する燃料費調整制度とは、火力発電に用いる燃料(原油・液化天然ガス・石炭)の価格変動を電気料金に反映させる仕組みのことです。

日本は、エネルギー資源をほとんど輸入に頼っているため、世界の市況や政局の動向、為替レートなどが燃料調達価格に大きく影響します。

国内の電気料金が固定化されたままだと、燃料価格が高騰した際に各電力会社が多大な損失を被るので、こうした事態を避けるために燃料調整制度が設けられました。

この制度により、毎月の電気料金のうち電力量料金に補正が加わります。ここでは、2021〜2023年の東北電力、および東京電力について燃料調整額の推移を見てみましょう。

<東北電力(黄)・東京電力(緑)における燃料費調整額(低圧)の推移>

※出典:燃料費調整単価の推移|新電力ネット

2021年6月〜2023年5月の燃料費調整額を具体的に見ておきましょう。

2021年6月 2023年5月 差額
東北電力(黄) ▲1.75円/kWh 10.74円/kWh 12.49円/kWh
東京電力(緑) ▲3.29円/kWh 9.21円/kWh 12.50円/kWh

表・グラフを見てわかる通り、2021年6月に比べて燃料調整額が1kWhあたり12円程度上昇しています。

ピークの2023年2月(東北電力:13.81円/kWh)からは少し下がりましたが、燃料調整額の上昇が家計や企業にもたらす影響はかなり大きいといえるでしょう。

使用電力量を抑えても、一向に電気料金が下がらずむしろ上昇している原因は、この燃料調整額の上昇によるところが大きくなっています。

ロシアに対する経済制裁の影響もあり、石炭や天然ガスなどの価格は今後も上昇傾向であるため、燃料調整額の高騰はしばらく継続するでしょう。

電気代が高騰した主な原因

ここでは、電気代が高騰した主な原因について解説します。

電気代が高騰した主な原因は、以下の3つです。

  • 国内の電力供給不足
  • 再エネ賦課金の値上げ
  • 燃料価格の高騰

順に見ていきましょう。

国内の電力供給不足

電気代が高騰した原因のひとつに、国内の電力供給量不足があります。ここでは、国内の電力供給量の推移を見てみましょう。

<発電電力量の推移>

※出典:令和3年度エネルギーに関する年次報告 (エネルギー白書2022)PDF版|資源エネルギー庁

発電量ピークである2010年の発電電力量が1万1,495kWhに対し、2020年は1万13kWhとなり12.9%減少していることがわかります。

電力量が減少した最も大きな原因は、2011年の東日本大震災以降、政策的な原発の停止により、原子力発電所による電力供給が激減したからです。

2010年には、供給量全体の20%以上を占めていた原子力ですが、2021年においてはわずか3.9%になっています。

2021年12月、九州電力川内原子力発電所を皮切りに合計10基の原発が再稼働していますが、全体の供給量不足を補うまでには至っていません。

一方で、火力発電も古い発電所の廃止などを受けて減少しており、2013年のピーク時から約20%減少しています。

こうした原子力発電や火力発電の減少により、全体の電力供給量が低下し電気料金の高騰に繋がっています。

再エネ賦課金の値上げ

再エネ賦課金とは、正式名称を「再生可能エネルギー発電促進賦課金」と呼び、太陽光や風力発電による再エネの買取り費用を賄うための賦課金です。

CO2を排出しない、再エネ普及のために制定されたこの制度により、多くの人が毎月1,000円程度の再エネ賦課金を徴収されていると覚えておきましょう。

再生可能エネルギーは、化石燃料(石油・石炭・天然ガスなど)を使用せずCO2を排出しないので、地球環境にも優しくエネルギー自給率のアップに繋がります。

政府は、環境保護を踏まえて再生可能エネルギーを強く推奨していますが、一方で再生可能エネルギーによる発電量が増えるほど、再エネ賦課金も増大する仕組みになっています。

<再エネ賦課金:標準家庭の月額負担額>

※:標準家庭の負担額:毎月300kWhの電力を消費した場合の月額再エネ賦課金負担額

※参照:再生可能エネルギー発電促進賦課金の推移|新電力ネット

再エネ賦課金も、震災翌年の2012年時は月額66円でしたが、2022年には月額1,035円まで上昇しています。この表・グラフからも再エネ賦課金の高騰が読み取れるでしょう。

今後、太陽光発電や風力発電の普及が進むにつれて、さらに負担額は上昇すると想定されます。

燃料価格の高騰

石炭や天然ガスなどの化石燃料価格が高騰したことにより、連動して電気料金の価格も上昇しました。

石炭や天然ガスは、国内における電源構成の約77%を占める火力発電の燃料として使用されています。火力発電の燃料のうち、石炭は51%、天然ガスは41%となり、90%以上をこの2つの化石燃料で賄っています。このことから、ほとんどの燃料を輸入に頼っていることがわかります。

ここでは、石炭や天然ガスの燃料価格が上昇した原因を確認しておきましょう。

  • 2020年に中国武漢から世界中に拡大した、新型コロナウイルス感染症
  • 2022年にウクライナ侵攻した、ロシアに対する世界的な経済制裁
  • 2022年からの急激な円安による、輸入価格の高騰

上記3つの要因が重なり、石炭・天然ガスの価格が高騰したため電気料金も一気に上昇してしまいました。

2023年4月になり、コロナは幾分おさまりを見せていますが、ウクライナ情勢や中国・台湾問題などは解決しておらず、さらなる高騰が続くおそれがあります。

【2023年】電気代の高騰における今後の見通し

ここでは、2023年以降の電気代がさらに高騰するか否かについて見ていきましょう。

全国大手10社の電力会社は、2023年4月以降の規制電気料金値上げを経済産業省に申請しています。料金値上げには以下の2種類があり、どれを値上げするかは電力会社によって異なります。

  • A:託送料金(送電網の利用料)の値上げ分のみを反映した値上げ
  • B:ウクライナ情勢などの影響を受け、燃料価格が上昇した分を加味した値上げ

各電力会社における、値上げ申請内容は以下の通りです。

申請の種類 申請済(※1) 認可済(※2) 値上げの時期 値上げ率(低圧)
中部電力 A 2023年4月 Aのみ:109円程度
関西電力 A 2023年4月 Aのみ:92円程度
九州電力 A 2023年4月 Aのみ:250円程度
東京電力 A+B 2023年6月 29.31%
北陸電力 A+B 2023年4月 45.84%
中国電力 A+B 2023年4月 31.33%
東北電力 A+B 2023年4月 32.94%
四国電力 A+B 2023年4月 28.08%
沖縄電力 A+B 2023年4月 40.93%
北海道電力 A+B 2023年6月 34.87%

※1:「◯」はBの値上げ申請を申請済、「-」はBの申請なしでAのみ
※2:「◯」は認可済、「△」は値上げ幅を下げて要再申請。

2023年4月以降の電気代値上げについては、以下でまとめています。

2023年4月における電気代の値上げは先送りに

結論からいうと、2023年4月の時点では、託送料金の値上げに付随する料金値上げしか認可されていません。

託送料金に付随する値上げである、申請Aのみを実施した電力会社は中部電力・関西電力・九州電力の3社です。

それ以外の7社については、経済産業省から「値上げ幅を見直して再申請する」といった指示を受け、4月の値上げは見送りとなりました。

毎月の電気代を節約する方法

ここでは、毎月の電気代を節約する方法を解説します。

  • エアコンの設定温度を見直す
  • 待機電力を見直す
  • 家電の使い方を見直す
  • 電力会社や契約プランを見直す

順番に解説していきます。

エアコンの設定温度を見直す

エアコンは、電源を入れる前の室温と設定温度の差が大きいほど、早く設定温度に到達しようと多くの電力を消費します。

そのため、設定温度を極端に高くしたり低くしたりを避けたほうが余計な電力消費を抑えられます。

環境省が推奨しているエアコンの設定温度は、夏28℃、冬20℃であるため、この温度を目安に衣服などで温度調節するようにしましょう。

待機電力を見直す

待機電力とは、家電製品などを使用していなくても消費しているわずかな電力のことです。

テレビや冷蔵庫、パソコンなどをコンセントに繋ぎっぱなしにすることで、年間で6,000円強の電気代が発生します。資源エネルギー庁によれば、ひと世帯あたり家庭消費電力量のうち5.5〜6.0%が待機電力とされています。

※参照:省エネルギー政策について|資源エネルギー庁

使わないときはコンセントを抜くなどして、電気代の節約を心がけましょう。

家電の使い方を見直す

家電を賢く使うことで、電気代を大きく節約できます。

ここでは、具体的な方法を主要な家電ごとにまとめました。

家電の種類 節約方法 効果の目安(年間節約額)
洗濯機 ・乾燥は電気料金の安い時間に実施 8,000〜9,000円
 

エアコン

・オンオフを繰り返さない
・扇風機やサーキュレーターと併用
・フィルターをマメに掃除
・自動運転を利用する
約5,000円
テレビ ・電源はこまめにオフ
・明るさ調整
約500円
 

冷蔵庫

・物を詰め込みすぎない
・季節に合わせて温度調整する
・扉の開閉を減らす
約4,500円
トイレ ・暖房便座の温度設定を季節ごとに見直す
・使用しない時は暖房便座の蓋を閉じる
約1,000円
炊飯器 ・こまめにコンセントからプラグを抜く 約1,200円
パソコン ・こまめにシャットダウンしない 約1,000円(※)
電気ポット ・こまめにコンセントからプラグを抜く 約3,000円

※パソコンの使用時間は5時間を目安とする

上記はあくまでも目安ですが、参考にしながら電気代を節約してみてください。年間でみると、2万4,000〜2万5,000円程度の節約になるので、可能な範囲で実施してみましょう。

電力会社や契約プランを見直す

2016年、電力の小売全面自由化により自分好みの電力会社や料金プランを選べるようになりました。料金プランを自由に選ぶことで、効率的に電気料金を減らせます。

電気とガスのセット割引などのサービスを実施している会社もあるので、チェックしましょう。

電気代の高騰に関するよくある質問

最後に、電気代の高騰に関するよくある質問を紹介します。

  • 電気代の値上げはいつから始まったのか?
  • 電気代の値上げに対する補助金制度はあるか?
  • 電気代が高い原因を調べる方法は?

順番に回答していきます。

電気代の値上げはいつから始まった?

電気代は、2021年の4月から顕著な値上げが始まり、2023年4月に至ってもさらに値上げが断行される見込みです。

2023年4月の段階では、大手電力会社の値上げ申請は経済産業省によって見送られましたが、再申請は認められているため、電気代の高騰が抑えられる気配はありません。

電気代の値上げに対する補助金制度はある?

2023年1月〜2023年9月の使用分について、8月までは7円/kWh、9月は3.5円/kWhの補助が受けられる「電気・ガス価格激変緩和事業」といった補助金制度があります。

2023年10月以降についての補助金制度の発表は、2023年4月時点ではまだありません。

電気代が高い原因を調べる方法は?

電気代が高いと感じたら、具体的に以下の点をチェックしてみましょう。

<自分の生活に起因するもの>

  • 電気使用量が増えていないか?
  • 電気を多く使う生活スタイルに変化していないか?
  • 使用している家電は古くないか?

<自分の生活に起因しないもの>

  • 電気料金の市場価格が値上がりしていないか?
  • 燃料調整額が上がっていないか?

自分の生活に起因しないものは自分の力で電気代を抑えられないものの、起因するものは改善の余地があるはずです。

古い家電などは、タイミングを見て新しいものに買い替えましょう。

電気代の高騰は今後も続く!少しでも節約する方法を見つけよう

ここまで解説したように、電気代の高騰は今後も続くことが予想されます。

実際に2023年4月の大幅な電気料金の値上げは見送られましたが、値上げそのものが消滅したわけではないので、今後も高騰することはほぼ確実です。

今後の電気料金を少しでも節約するためには、この記事で紹介したような節約方法を試してみたり、こまめに契約プランを見直したりする以外に方法がありません。

したがって、小さな節約でも可能な範囲から日々継続することが大切です。

アイフルホームでは、電気代の節約にも効果の高い断熱性に優れた家づくりを提案しています。

家計に優しい家づくりを検討している人は、ぜひお問合せください。

カタログ請求・お問い合わせ|イベント・見学会|注文住宅のFCハウスメーカー【アイフルホーム】

※金利や制度は2023年4月時点のものです。

ページトップ

無料お見積もり依頼