頭金なしで住宅ローンを組める?デメリットや後悔しないためのポイントも

この記事では、頭金なしで住宅ローンが組めるかを解説していきます。2022年12月に長期金利の変動幅が0.25%から0.5%に拡大され、国際利回りも5%近くまで上昇しました。

こうした影響を受けて「低金利のうちに住宅ローンを組んでおいた方が良いのか?」と考えている人は少なくありません。一方で、「まだ頭金が十分に用意できてないけれど、住宅ローンは借りられるの?」といった疑問を抱く人も多くいます。

この記事では、さらに頭金なしで住宅ローンを組む際のデメリットや注意点も解説するので、住宅ローンでの借入を検討している人は、ぜひ最後までお付き合いください。

【この記事でわかること】

● 頭金なしで住宅ローンは組めるのか

● 頭金なしの住宅ローンを組むメリット・デメリット

● 頭金なしの住宅ローンを組む際の注意点

頭金なしでも住宅ローンは組める?

結論からいえば、頭金なしでも住宅ローンは組めます。

ただし、注意すべき点として建物購入費(消費税含む)のフルローンは可能ですが、保険料や登記費用などの諸経費は自己資金が必要です。(※)

ここでは、頭金なしで住宅ローンを組む際の注意点を見ていきましょう。

  • 審査が厳しくなるおそれがある
  • 借入先の金融機関によっては、頭金なしの住宅ローンが組めない場合がある

それぞれ見ていきましょう。

※一部のネット銀行において、諸経費を含めたオーバーローンが可能な金融機関も存在する

審査が厳しくなるおそれがある

頭金がないと借入金額が大きくなるため、返済負担率(※)が大きくなり金融機関の融資基準を超える返済負担率になると、ローン審査が厳しくなります。

※返済負担率:年収に占める年間返済額の割合のことで、概ね上限30〜35%程度

借入先の金融機関によっては組めないケースがある

2023年現在では少なくなりましたが、以前は住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)なども頭金を20%程度準備しなければローンが組めませんでした。

現在は頭金の有無に関係なく、ローンが組めるのかは収入状況や返済負担率を基準に審査されると理解しておきましょう。

頭金なしで住宅ローンを組むメリット

ここでは、頭金なしで住宅ローンを組むメリットについて解説します。

  • 手元に資金が残せる
  • 住宅ローン控除を最大限に活用できる
  • 早い時期から返済を始められる

順番に見ていきましょう。

手元に資金を残せる

マイホーム購入は、建築費や諸経費以外に新たに家具や家電を購入することも多いため、手元資金に余裕があるに越したことはありません。

合わせて、頭金分を手元に余裕資金として残せることで、急な出費や大きな支出が必要な場合にも対応しやすくなります。

住宅ローン控除を最大限に活用できる

頭金がなく借入額が大きくなると年末のローン残高も大きくなり、住宅ローン控除(※)を受ける際に、所得税から控除される額が大きくなります。

住宅ローン控除は、住宅ローン金利が実質0.7%下がったのと同じ効果を持つので、是非利用しましょう。

※住宅ローン控除制度:年末ローン残高の0.7%を、所得税から最大13年間控除できる制度

早い時期から返済を始められる

頭金なしの場合、早い時期から返済を始められる点もメリットのひとつです。頭金が必要な場合は、一定の金額が貯まるまで住宅ローンを組めず、当然マイホームも購入できません。

ここでは、3,000万円のマイホームを計画する際の、頭金がある場合とない場合の購入時期や返済残高を比較してみましょう。

<設定条件>

  • 借入金額:3,000万円
  • 返済年数:35年
  • 借入金利:当初10年0.5%、以降1.0%
  • 頭金:600万円(毎月5万円貯蓄、10年後に600万円貯まる設定)
  • 計画開始:2023年4月

なお、比較する際は上記の設定条件をもとにシミュレーションしていきます。

頭金なし 頭金あり
計画開始時:2023年4月 ローン残高:3,000万円
頭金確保日:2033年4月 ローン残高:約2,190万円 ローン残高:2,400万円
返済終了日:2058年3月 2058年3月(35年後) 2068年3月(45年後)

上記からわかる通り、頭金なしの場合完済まで35年、頭金ありの場合45年必要です。

例えば、25歳で返済計画を始めた際に頭金なしの場合は60歳で完済できますが、頭金ありの場合は70歳までかかる計算になります。

頭金なしの場合、早めにローンが組めて完済時期も早まると理解できるでしょう。

頭金なしで住宅ローンを組むデメリット

ここでは、頭金なしで住宅ローンを組むデメリットを解説します。

  • 借入金利が高くなる傾向がある
  • 担保割れを起こすおそれがある
  • 借入額が多くなる
  • 返済不能になるおそれがある

順番に解説していきます。

借入金利が高くなる傾向がある

頭金を用意しない場合、借入金利が高くなる傾向があります。

金融機関によっては、頭金を用意することで優遇金利を適用できる場合があります。一方で、頭金を準備しない場合は、その分高い金利を払うことになるので注意が必要です。

ここでは、住信SBIネット銀行の例をまとめました。

フラット35返済保証型(35年返済) 一般住宅 長期優良住宅
頭金なし 1.770% 1.770%
頭金10%以上 1.740% 1.490%
頭金20%以上 1.660% 1.410%

※参考:フラット35金利一覧|NEOBANK 住信SBIネット銀行

プランにより、当初5〜10年間について引き下げ金利が適用されます。

担保割れを起こすおそれがある

借入額が大きいと、返済期間中に何らかの理由で住宅価格が下落したときなどに担保割れを引き起こすおそれがあります。

よほどでない限り、返済期間中に追加担保を求められることはありませんが、住宅価格が下落した時点で売却したい場合は注意が必要です。

住宅価格の下落幅が大きく担保割れに陥ると、売却したくても差額を手持ち資金で賄わない限り売却できません。(※)

このような事態に備えて、日頃から近隣の市場価格などをチェックしておきましょう。

※任意売却により売却できるケースもある

借入額が多くなる

単純に借入額が多くなるので、住宅以外に高額な借入を申請したいときなどに審査に通らないおそれがあります。

可能であれば、ローン控除の状況などを考慮しながら、繰り上げ返済などで借入額を少なくすることも視野に入れておきましょう。

返済不能になるおそれがある

勤務先の変更や、子どもの誕生などにより収入の減少や支出の増加に陥ると、返済が困難になるおそれがあります。

自己都合以外にも、金利が高騰したり物価が上昇したりすることによって、支出が増大する場合もあります。

こうしたことが原因で、冒頭に紹介した返済負担率が40%以上になると返済不能になるおそれもあるので、十分に注意してください。

頭金なしの住宅ローンで後悔しないためのポイント

ここでは、頭金なしの住宅ローンで後悔しないためのポイントを解説します。

  • 借入期間を短く設定する
  • 将来的なライフプランを設定する
  • ボーナスや退職金を返済に充てる

順番に解説していきます。

借入期間を短く設定する

頭金なしで住宅ローンを組む場合、なるべく借入期間を短く設定しましょう。総返済額を少なくできるだけでなく、リタイア前に完済できる可能性が高くなります。

年収が増えることによって月々の返済にまわせる額も多くなるため、返済負担率25〜30%を目安に検討してみましょう。

将来的なライフプランを設定する

住宅ローンは、ライフプランの中に組み入れて設定することをおすすめします。

返済年数が30年の場合、30歳で住宅ローンを組むと完済するのはリタイア時の60歳になることも認知しておきましょう。特に、大きな支出を伴う子どもの誕生、入学などのライフイベントと一緒に時系列で支出ポイントを押さえておいてください。

時系列で大きな支出や、反対にボーナス・退職金などの収入のポイントを押さえることで、繰り上げ返済のタイミングなども考慮できるようになるでしょう。

ボーナスや退職金を返済に充てる

頭金なしの住宅ローンを賢く返済する方法として、ボーナス数回分や退職金を繰り上げ返済に充てることをおすすめします。

ボーナスや退職金を繰り上げ返済に充てる時は、月々の返済額を少なくするのではなく、返済年数を短縮するようにしてください。

返済年数を短くする方が総返済金額も少なくなりますし、リタイア後に残債を残す危険性も減少します。ボーナスや退職金のうち、無理のない範囲で繰り上げ返済を検討しましょう。

住宅ローンの頭金に関するよくある質問

最後に、住宅ローンの頭金に関するよくある質問を紹介します。

  • 住宅ローンの頭金が多いと有利?
  • 頭金なしで住宅ローンを組むのは無謀?
  • 住宅ローンの頭金はいつ支払う?

順番に回答していきます。

住宅ローンは頭金が多いと有利?

住宅ローンを組む際に多額の頭金を用意すれば、さまざまな面において有利であることは間違いありません。有利になる点は、主に以下の通りです。

  • 頭金が多いと金利が優遇される場合がある
  • 月々の返済額が少なくなり、家計にゆとりが生まれる
  • 支払う総利息額が少なくなる
  • 住宅価格が下落しても担保割れを起こしにくい
  • 頭金を貯金してもほとんど利息はつかないが、頭金を入れることにより借入金利で貯金しているのと同じ効果が得られる

上記以外にも事例はありますが、この時点で頭金を入れるメリットは大きいとわかるので、無理のない範囲で頭金を用意しましょう。

頭金なしで住宅ローンを組むのは無謀?

頭金なしで住宅ローンを組むことは、無謀なことではありません。

頭金なしでも、自分の収入やほかの出費と照らし合わせても無理のない返済計画が組めれば、全く問題ありません。

例えば、頭金なしのフルローンでも返済負担額が20〜25%程度であれば、通常は問題なくゆとりを持った生活が送れるでしょう。

ポイントは、自分にとって限界ギリギリの返済計画を組まないことです。とはいえ、今後の金利上昇が懸念されることから、なるべく頭金を多く用意できれば金利上昇リスクを軽減できます。

住宅ローンの頭金はいつ支払う?

頭金を支払うタイミングは、契約日から引渡し日の間となります。実際には、取引相手である業者と支払い日を決めることになるケースがほとんどです。

ここでは、簡単な資金の流れを見ていきましょう。

  1. 10万円程度の申込金の支払い(契約が成立したら手付金に充当)
  2. 契約段階で10%程度の手付金の支払い(諸経費や諸経費を払った残高は頭金に充当)
  3. 頭金を業者と打ち合わせて引渡し日までに支払い

業者と打ち合わせして、頭金を支払う準備を事前にしておきましょう。

住宅ローンを組む際はなるべく頭金を用意しよう

近年では、金融機関の条件を満たせば頭金なしで住宅ローンを組めることがあります。

ただし、これからのライフプランにおいて金利や物価の上昇、収入の減少など、懸念されるリスクにも対応可能な余力を持つ必要があるでしょう。その意味では、可能な限り頭金を準備して借入額を少なくすることを優先すべきともいえます。

とはいえ、頭金が貯まるのを長期間待っていては、マイホームを購入する機会を失ってしまうおそれがあるのも否めません。こうした点を踏まえて、この記事でもみてきたように自分の収入状況や将来の支出を見据えて、無理のない返済計画をなるべく早く組むことが大切です。

アイフルホームでは、今後の住宅ローンの動向にあわせて、高品質な家づくりを提案しています。毎月の返済や家計に優しい家づくりを検討している人は、ぜひ一度お問合せください。

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※金利や制度は2023年4月時点のものです。

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