「小上がり和室の高さ」住宅のプロが解説!暮らしを変えるメリットと後悔しないポイント

おしゃれで使い勝手のいい間取りに仕上げるのに、「小上がり(こあがり)和室」を取り入れたいという方も多いのではないでしょうか?
「小上がり和室って、どれくらいの高さがちょうどいいんだろう?」
新築やリノベーションを検討するとき、こんな疑問を抱く方はとても多いです。
たしかに、小上がり和室は畳の落ち着きと段差の使いやすさが魅力ですが、高さを間違えると「座りづらい」「収納が不便」「子どもが危ない」など後悔ポイントになることも…。
この記事では、あなたの暮らし方や家族構成に合わせて、小上がり和室の「ベストな高さ」がわかるように、用途別・視点別に詳しく解説します。
読み終わる頃には、自信をもって「この高さが我が家にはベストだ!」と思える判断ができるようになりますよ。
今回の記事のポイント
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初稿:2025/5/23
目次
- 小上がり和室の高さ:基本の考え方を解説
- 小上がり和室の用途による最適な高さとは?
- 高さによる「メリット」と「デメリット」一覧
- 小上がり和室の高さで後悔しない設計ポイント
- 「ちょうど良い高さ」のヒント:施工事例紹介
- あなたに合った小上がり和室の高さは?
小上がり和室の高さ:基本の考え方を解説
小上がり和室の「高さ」は、空間の印象だけでなく、使いやすさ・安全性・収納力・掃除のしやすさまで大きく左右します。たとえば、40cmの高さなら腰かけやすく、収納もたっぷり確保できますが、小さな子どもには高低差が危険になることも…。逆に20cmなら安全性は高いものの、収納力は控えめになります。事前に高さによる性能を把握し、用途と暮らし方に合わせて高さを選ぶことが、快適な小上がり和室づくりのカギとなります。
小上がり和室の「標準的な高さ」とは?
小上がり和室の高さには法律上の決まりはありませんが、一般的には20〜40cmの間で設計されることが多いです。
実際の設計現場では、「椅子のように腰かけたい」「下に収納を作りたい」「掃除しやすくしたい」等、使い方や住む人のライフスタイルに応じて高さを決めています。
たとえば、来客の多い家庭では腰かけやすい約40cmの高さが人気です。一方で、小さなお子さんや高齢者がいる場合には20〜25cmの低めの段差が安心とされています。
つまり、小上がりの「正解の高さ」は一つではなく、それぞれの暮らし方にフィットするバランスを見つけることが大切なのです。
高さで失敗しないために知っておくべき基本ルール
小上がり和室は“ちょっとした段差”が魅力ですが、その高さ選びを間違えると見た目や機能性だけでなく、安全性にも関わってくるため注意が必要です。また、後付けはできるかもしれませんが、高さを下げることは難しいかもしれません。以下のポイントを押さえることで、後悔のない設計が可能になります。
<<失敗しないための基本ルール一覧>>
- 腰かけたいなら40cm前後が目安→ 一般的な椅子の座面と同じくらいの高さで、自然に腰を下ろせます。
- 子どもや高齢者が使うなら20〜25cmを推奨
→ 転倒リスクを避けるために、段差はなるべく低く。 - 収納スペースが必要なら30cm以上
→ 引き出し収納や布団収納を確保するには、ある程度の高さが必要です。 - ロボット掃除機を通したいなら15cm以下か45cm以上
→ 中途半端な高さは、ロボット掃除機の出入りを妨げます。 - 天井高とのバランスも重要
→ 高くしすぎると天井が近くなり、圧迫感を感じる場合があります。
このように、単に見た目の好みだけでなく、「誰が・どんなふうに使うのか」を中心に高さを設計することが失敗しないコツです。
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小上がり和室の用途による最適な高さとは?
小上がり和室の高さは、誰がどのように使うかによってベストな答えが異なります。収納が欲しい人と、子育て中の家庭では、求める機能や使いやすさがまったく違いますよね。「なんとなくで高さを決めたら後悔した…」というケースを防ぐためにも、目的別に適切な高さの目安を知っておくことがとても大切です。ここでは4つの代表的な用途別に、ベストな高さを解説していきます。
腰掛けやすさ重視:来客・くつろぎスペースの場合
来客が多い家庭や、リビングの一角でゆったりくつろぎたいという方には、腰かけやすさを重視した高さ設計がオススメです。
目安となる高さは35〜40cm。この高さは一般的なダイニングチェアの座面高とほぼ同じで、座ったときに自然な姿勢になりやすく、立ち上がりもスムーズです。「ソファがわりに座るのに便利」「急な来客でも気軽に座ってもらえる」という声もよく聞きます。
ただし、40cmを超えると子どもや高齢者には少し高すぎることもあるため、家族構成に応じて±5cm調整するのがポイントです。
収納力重視:引き出し式収納に適した高さ
収納を目的として小上がりを設置する場合は、引き出しや床下収納を無理なく確保できる高さが必要です。目安としては30〜40cmですが、収納タイプによってベストな高さが変わります。
<<収納タイプ別のおすすめ高さ一覧>>
収納タイプ | 推奨高さ(目安) | 特徴・注意点 |
引き出し収納 | 30〜35cm | 出し入れがしやすく、普段使いに便利。 |
開閉式床下収納 | 35〜40cm | 季節物や寝具など大物の収納に適している。 |
扉なしオープン収納 | 25〜30cm | おもちゃや雑誌など出し入れが頻繁なものに◎ |
掘りごたつ収納 | 40〜45cm以上 | 掘りごたつを作るには深さと高さが必要。 |
収納目的で高さを決めるときは、「何を収納するのか?」を明確にしておくことが大切です。高さに余裕を持たせれば容量は増えますが、段差も大きくなるので、使い勝手と安全性のバランスを考えましょう。
子育て世帯向け:安全性を重視した低め設計
「小さい子どもがいるので、段差でケガをしないか心配…」
こんな声に応えるためには、とにかく段差を低く抑える設計がベストです。
目安となる高さは15〜25cm。この範囲であれば、ハイハイやよちよち歩きの子どもでも安心して上り下りでき、落下の危険も最小限に抑えられます。
さらにこの高さは、ロボット掃除機が通れる高さにも該当するため、家事の時短にもつながるというメリットもあります。
ただし、この高さだと収納スペースは限定的になりますので、別途収納棚を併設するなどの工夫が必要になる場合もあります。
将来の介護を考慮した優しい高さとは?
「今は元気でも、将来のことを考えると低すぎても高すぎても不安…」
そんな方には、将来を見据えた“中間的な高さ”の設計がおすすめです。
目安は25〜30cm。この高さなら、足腰に不安が出てきたときでも無理なく座って立ち上がれる高さであり、手すりを設ければ安全性も高まります。
また、段差が適度にあることで視覚的な境界が生まれ、空間にメリハリが出るため、リビングの一角に落ち着いた印象をプラスすることもできます。
さらに、将来的に寝室として使用する際ベッド代わりに布団を敷く場合でも、この高さがあることで布団の上げ下げが楽になるというメリットも。長く安心して暮らすための高さ設計として、非常にバランスのよい選択肢です。
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高さによる「メリット」と「デメリット」一覧
小上がり和室の高さは、見た目や機能だけでなく、日々の使い勝手に直結する重要なポイントです。高くすれば収納力や座りやすさが増す一方で、安全性や掃除のしやすさに影響が出ることも…。逆に低くすれば安心感は高まりますが、使い方が限られることもあります。ここでは「高め」と「低め」それぞれのメリット・デメリットを整理してご紹介します。
高めの小上がり和室のメリット・デメリット
高め(約35〜45cm)の小上がりは、収納力や空間のメリハリが出るという点で非常に人気があります。リビングの一角に段差を設けることで、視覚的にも「特別な空間」を演出しやすく、来客用スペースやくつろぎの間としての存在感も抜群です。
一方で、小さなお子さんや高齢者にとっては段差が大きく、転倒や落下のリスクが高くなるのが懸念点。天井が低い家では、圧迫感を感じやすくなる場合もあります。
<<高め(35〜45cm)のメリット>>
- 腰かけやすく、ベンチ代わりにも使える
- 床下収納スペースを広く確保できる
- 空間のアクセントになりやすい
- 掘りごたつやカウンターとも相性が良い
<<高めのデメリット>>
- 子どもや高齢者には段差が高く危険
- ロボット掃除機が乗り越えられない
- 天井が低いと圧迫感が出る可能性あり
- 落下によるけがの心配がある
低めの小上がり和室のメリット・デメリット
低め(約15〜25cm)の小上がりは、段差のストレスが少なく、生活の中に自然と溶け込むやさしい設計です。とくに、赤ちゃんや高齢者がいる家庭では安全面での安心感が強く、「つまずきにくい」「落ちてもケガをしにくい」といった理由で選ばれることが多いです。
ただし、収納力はどうしても限定的になり、収納を前提とした設計にはやや不向き。また、段差が低すぎると小上がりの“特別感”が薄れ、視覚的に空間を区切りにくいという一面もあります。
<<低め(15〜25cm)のメリット>>
- 段差が小さく安全性が高い
- 小さな子どもや高齢者でも安心して使える
- ロボット掃除機も通れる可能性がある
- 天井との距離が保てて圧迫感がない
<<低めのデメリット>>
- 床下収納が小さくなる、または設置できない
- 掘りごたつの設置には向いていない
- 空間の切り替え感(アクセント)が弱い
- 座ったときに腰をかけづらい人もいる
小上がり和室の高さで後悔しない設計ポイント
「もう少し低くすればよかった…」「掃除が面倒すぎる…」など、小上がり和室の高さで後悔してしまうケースは意外と多いです。ポイントは、“高さ単体で考えないこと”。天井の高さ、生活動線、掃除のしやすさなど、周囲とのバランスを考慮して設計することで、見た目も使い勝手も快適な空間が完成します。ここでは後悔しないために押さえるべき設計上のポイントを2つに絞って紹介します。
天井高とのバランスを意識すべき理由
小上がりの高さを設計する際、意外と見落とされがちなのが「天井との距離感」です。床を高くすればするほど、天井までの距離は縮まり、結果として空間に圧迫感を感じるようになります。
特に天井が低めの住宅やマンションでは、40cm程度の小上がりを設けた場合、立ち上がったときに頭がぶつかりそうに感じることも…。こうなると、リラックスするどころか、ストレスのある空間になりかねません。
たとえば天井高が240cmの部屋に40cmの小上がりを作ると、実質の高さは200cm。成人男性の平均身長を考えると、かなりギリギリです。
そのため、小上がりを作る際は、天井高との相対的なバランスを考慮した選び方が大切。逆に天井に余裕がある空間であれば、ある程度高さを出しても窮屈な感じが出にくく、収納や座り心地を優先できます。
ロボット掃除機や生活動線との相性は?
今や多くの家庭で使われているロボット掃除機。便利ですよね。ですが、設計時にその存在を忘れてしまうと、「掃除が面倒くさい空間」になってしまう可能性があります。
ロボット掃除機が乗り越えられる段差は、一般的に2cm〜2.5cmまで。それ以上の高さになると小上がり内は“掃除対象外”になってしまいます。
「せっかく毎日掃除しても、小上がりの上だけゴミやホコリが溜まる…」
こんな声も少なくありません。
また、生活動線との相性も重要です。段差が高すぎると、頻繁に昇り降りするのが面倒になり、次第に使われなくなるケースも。
つまり、**「掃除機が入るか」「使い続けられるか」**という視点で高さを決めておかないと、どんなに見た目が良くてももったいないスペースになるリスクがあるのです。
掃除の手間や、使いやすさのこと。高さだけでなく、日常のルーティンとの相性を考える視点が非常に大切です。
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「ちょうど良い高さ」のヒント:施工事例紹介
小上がり和室の「高さ」が暮らしにどう影響するのか、実際の施工事例を見てみると、そのイメージがより明確になります。収納力、座りやすさ、空間の広がりなど、リアルな体験から得た「ちょうどいい高さ」のヒントを是非チェックしてみてください。
事例①:堀りごたつ付きのモダンなタタミコーナー(O様邸)
黒とシルバーを基調にしたスタイリッシュな外観が目を引くO様邸。
そのコンセプトは内装にも統一されていて、全体的に洗練されたモダンデザインでまとめられています。
特に目を引くのが、リビングの一角に設けられた小上がりの畳スペース。
この場所には掘りごたつが設置されており、冬は家族でぬくぬくとくつろげる団らんの場に。来客時も自然とここに人が集まってしまう、そんな「心地よい特等席」になっています。
小上がりの高さを活かした床下収納もポイント。布団や座布団などをサッとしまえるので、生活感が出にくく、スッキリとした空間づくりが叶います。
さらに、畳スペースとの間仕切りには半透明の引き戸を採用。空間をゆるやかに区切りながらも、圧迫感を与えず、光もやさしく通してくれる工夫がされています。デザインと機能性が絶妙に調和した設計です。
事例②ワークスペースや来客用など多様に使える小上がり空間(S様邸)
広いリビングに吹き抜けのある開放的な家にしたい」——そんな想いをカタチにしたS様邸。
その空間の中で、ほどよく立体感を演出しているのが、リビングに隣接した小上がりの畳スペースです。
一見すると和のアクセントのようですが、実は見た目以上に“実用性”が際立つつくりになっています。
段差部分は収納スペースとして活用されており、おむつや日用品など子育て家庭に必要なアイテムをスッキリ隠せる仕様に。散らかりがちなリビングをきれいに保てるのは嬉しいですね。
さらに、畳スペースの一角にはカウンターを設置。テレワーク時には掘りごたつ風に足を下ろして作業できる、和モダンなワークスペースとしても活用されています。
また、ロールスクリーンで仕切ることで、独立したミニ個室に変化。来客や風邪などでの隔離にも対応できます。
「和室はほしいけど一部屋増やすのは難しい…」そんな悩みに応える、省スペース&多機能なアイデアです。
暮らしに合わせて役割を変えられる、小上がりの柔軟性がしっかり活かされた実例ですね。
事例③子どもの遊び場所に:目が届く&隠せる工夫が満載(K様邸)
子どもが安心して遊べる場所をつくりたい――そんな想いから生まれたのが、K様邸の小上がりスペース。
ご夫婦とお子さんの3人暮らしで、リビングの一角に設けられたこの空間は、お昼寝や遊び場として毎日のように活躍しています。
高さは、お子さんが自分で上り下りできるちょうどよい段差。高すぎないので安心感があり、まるで小さな秘密基地のよう。自然とお子さんが集まってくる場所になっています。
さらに、キッチンからもこのスペースに目線が行き届き、家事をしながらでも子どもの様子を見守ることができるのもポイント。育児と家事を両立するご家庭にとってうれしい設計です。
加えて、来客時の対策としてカーテンも設置。急な訪問があっても、サッと目隠しできて、生活感を抑えた空間演出が可能です。
「和室ほどの広さはいらないけど、家族のくつろぎスペースがほしい」そんなニーズにぴったり応える、実用性に優れた小上がりです。
あなたに合った小上がり和室の高さは?
家づくりの中で、小上がり和室の「高さ」は、見た目の印象やインテリア性だけでなく、使いやすさ・安全性・収納力・清掃性など、日々の生活を大きく左右する重要な設計ポイントです。
一見、小さな段差のように思えますが、「40cmの高さは腰かけやすいけど、子どもには危険」「20cmなら安心だけど収納は物足りない」など、高さごとにメリット・デメリットがはっきり分かれます。
だからこそ大切なのは、「誰がどう使うのか」を確認すること。
- 来客やくつろぎスペースにするなら35〜40cm
- 安全面を重視するなら15〜25cm
- 収納力や掘りごたつ設計なら30〜45cm
- 老後や将来の使いやすさを考えるなら25〜30cm
このように、家族構成やライフスタイルにあわせて“暮らしやすい高さ”を見極めることが後悔しないコツです。
加えて、天井高とのバランス、掃除のしやすさ、動線との相性なども含めて設計することで、快適で実用的な空間が完成します。
高さをほんの数cm変えるだけで、暮らしの質が大きく変わります。
ぜひこの記事を参考に、あなたの住まいにぴったりの小上がり和室を作ってくださいね。

コラム監修者情報
木場昌也
二級建築士/ 1級施工管理技士
【現場管理】注文住宅・店舗 110棟
【販売】注文住宅 79棟
入社歴23年。8年現場監督経験を経て営業職に。
震災後は県内の品質管理、着工数の平準化を図るため工事管理職に従事。また注文住宅の安定供給、品質賞の受賞に携わる。
その後、ZEH普及、高気密・高断熱商品の開発、販売、店長職を兼任。
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